興味の壺

メカデザイン、機器デザイン、プロダクトデザイン、伝統的アーキテクチャー等を紹介します。

HONDA SL250S

我々は、コンペティティションモデルのような軽量、走破性能、パワーを持つモデルがいいと思っていたし、確かにそれを望んでいた。
そして、少し前の競技車両に近い性能を持った、オフロードモデルが市場に溢れるようになった。
長いサスペンションストロークを持ち、熱ダレの無い水冷エンジン。
華々しいが、玩具のようなカバーリングが悲しいモデル。

そして、その無意味さに気がつき始めたカスタマーの要望に合わせ、クラシックタイプのオフロードモデルが市場に出回り始めた。
ところが多くの場合、それらのモデルには、ほとんど何の主張も込められていないという事を我々は理解する。
コンペティティションモデルへの反省点に対しての回答が、そこには何ら提示されてはいなかったし、それを置換できる付加価値を見出すことは出来なかった。

製品からは、製造に携わる関係者の熱意と意志と、自らの感動の度合いが放射されているはずである。
熱意がない、理念がない、使うシーンのイメージを持てない製造関係者からは、新鮮で魅力のある製品は生まれてはこない。
各社の製品は、見事に地味で魅力に乏しいものばかりであった。

Honda SL250S サイドビュー Honda SL250S エンジン そんな時代、一台のモーターサイクルを再発見した。 HONDA SL250S。

1972年発売のトレールバイク。
この車体は、今日、市場で見ることが出来るマルチパーパスを凌駕する。
当時のホンダデザインの意欲が車体各部から滲み出ている。

その存在は、性急な流れの中で見失われていった。
しかし、ほとんど当時のままの状態で、今だ商品価値は落ちていない。
主張、オリジナリティ、普遍性に改めて驚く。
そして、何故か都会が似合った。

SL250Sは、コストを抑えた製品とは対極の、「作り込まれた」という表現が妥当な製品だった。
サイドカバーの代わりに、右サイドはエアクリーナーが、そして左サイドはマフラーのサイレンサー部がその部分を占めていた。
機能美。
ただし、控えめな主張は理解されなかった。
あるいは、時代の要請は別のセグメントにあったというべきか・・・。

カラーリングが変更され、タンクの形状が変わった。
そもそもカテゴリーが違ったのに、他社の派手な高性能2ストローク車を意識したようなモデファイを受け、つい(潰)えた。

画像は、「nen’s blog」からお借りした。

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