興味の壺

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ラムポンプ (水撃ポンプ)とは

電力を必要としないポンプあるという事を知ったのは、30代前半のことでした。
原理は、ウォーターハンマーという現象と、水の落差を利用するもので、落差の十倍程度の揚水能力があると聞きました。

ウォーターハンマー現象とは、水道の蛇口を急に閉めた時、「ゴン、ゴン」という音が発生する場合がありますが、水道管などの加圧管内の水流を急に止めた時、水の慣性で、管内に衝撃と高水圧が発生するというものす。
様々な原因で発生し、配管やバルブを破壊する厄介な現象らしく、衝撃を逃がすアブソーバーを配管内に設置する場合もあるそうです。 画像下は、圧力を逃がすアブソーバー装置のイラストです。

管内の圧力を逃がすアブソーバー しかし、このウォーターハンマー現象による衝撃を積極的に利用するのが、「水撃ポンプ」「ラムポンプ(Hydraulic Ram Pump)」と言われているポンプなのです。
ポンプの構造は、基本的に画像イラストとほぼ同様で、比較的シンプルです。ウォーターハンマー現象によって圧縮された気体の反発で水を押出し、揚水するという理屈です。

画像下は、「Allspeeds Ltd」社の、商品名「Blake Hydram」という商品。

ラムポンプ製品 欧米では、このポンプの既製品が販売されており、酪農や農業で利用されています。
入力に対して揚水量は少ないのですが、電力無しで、24時間の連続運転が可能という、夢のようなポンプです。
当然、考えられることは、発展途上国での利用です。
ラオスに住んで時には、誰かが紹介したらしく、職業訓練校の合同祭に資料だけ展示されていて、興味があったのですが、すでに、現物も、作る技術も存在してはいませんでした。
どこの国でも、入手が容易な水道部品で作ることが出来るポンプですから、途上国には最適の技術と思いますが、あまりポピュラーではないようです。

我家は、湧水をポンプアップしていることもあり、このポンプを利用できたら面白いと考えていましたが、当時日本国内で、素人が作れるような詳細な資料に出くわさなかったこともあり、それきりになっていました。

今回、塩ビ製配管部品で、素人でもラムポンプを作ることが出来る資料に出会ったので紹介したいと思います。
自分では、この興味深いポンプを作る事はないでしょうが、誰か、環境条件が会えば、トライすれば面白いかと思います。

この資料の表現は、インチのままにしてありますが、国内でも水道管の規格はインチですから、もしも必要な部品が入手できなければ、アメリカ等から取り寄せることができると思います。

資料は、「Clemson University Cooperative Extension(下記参照)」の、「Home-made Hydraulic Ram Pump」です。
非常に判り易く書かれていますが、翻訳にあたり、あまり関係ない部分は多少省略してあります(難解部分の誤訳の可能性を事前承知の事)。

参考:Clemson University Cooperative Extensionについて(概略)
農業、天然資源、食品の安全と栄養、経済・社会開発、及び青少年育成の研究に基づいた情報の提供による、人々の経済発展と生活向上に関わっている組織だそうです。