興味の壺

メカデザイン、機器デザイン、プロダクトデザイン、伝統的アーキテクチャー等を紹介します。

鶴林寺

伝統的建築構造物を見ることは、大変エキサイティングである。
民族の精神の高貴さ、昇華の度合い、進歩の度合いと言っていいようなものを、構造や、意匠をとおして学ぶことができるから。

鶴林寺 本堂側面 鶴林寺 本堂側面

西から姫路を過ぎ、神戸へ向かう途中の加古川市に鶴林寺はあった。
このお寺は、聖徳太子が建立したとされる。西の法隆寺とも言われ、播磨地方有数の古寺である。

本堂と太子堂が、国宝に指定されている。
宗派は天台宗、本尊は薬師如来。
画像上は、本堂側面。

訪れたのは、平日の午後。
幸いなことに、観光客はそれほど多くはない。
多くはないが、遠方からのツアー客であることが分かる。どういう理由で、此処を選んだのか分からないが、少し嬉しくなった。

本堂(国宝)
屋根が大きく、大変堂々としている。
阪神淡路の地震では相当揺れたのだろうか?
仏教の説法を聞いたり儀式を行う所から、大講堂とも呼ばれる。
13世紀頃、中国から唐様、天竺様と呼ばれる新しい建築様式が伝わり、14世紀頃に、従来の和様と折衷した様式が出来上がった。
この本堂は、和様に禅宗様を加味した折衷様建築の代表作。
入母屋造、本瓦葺き。桟唐戸(縦横に桟を組んだ扉)を多用する点が特色。内部の厨子には秘仏の薬師三尊像と二天像(各重文)を安置している。

鶴林寺 本堂内部 鶴林寺 本堂内部

太子堂(国宝)
非常にシンプルで清楚。檜皮葺の屋根が躯体とマッチして大変優美。
兵庫県最古の建築。
兎に角シンプルで、素晴らしい建物だと思う。

元来は「法華堂」と称された堂で、本堂手前左方に建つ「常行堂」と対をなす。
「法華堂」「常行堂」という同形の堂を並べて建てるのは天台宗特有の伽藍配置。
ただし、「常行堂」は瓦葺で、太子堂の方が優雅。

鶴林寺 太子堂 鶴林寺 太子堂

境内は広く、ここでは紹介していないが、本堂、太子堂の他にも、鐘楼、三重塔等々の建築物がある。