興味の壺

メカデザイン、機器デザイン、プロダクトデザイン、伝統的アーキテクチャー等を紹介します。

HONDA CL77

スクランブラーと呼ばれるジャンルのモーターサイクルがある。
オフロードも走ることのできる、所謂、デュアルパーパス モデルである。
最近の日本では影薄だが、スクランブラーは、モーターサイクルの歴史と共に有ると言ってもいい。

日本でも戦後、オートバイメーカーが、雨後の竹の子状態のように乱立した時代から、ロードバイクと、スクランブラーが併存し、HONDAでも、CBシリーズはロードタイプ、CLシリーズはスクランブラータイプとして販売されていた。

また、今は無い、BRIDGESTONE、HODAKAを含む、YAMAHA、SUZUKI、KAWASAKI、等のメーカーも皆、スクランブラーをラインナップしていた。

車体の主だった特徴は、フェンダーが、タイヤから少しばかり離れている、幅広ハンドル、アップマフラーである。

このタイプのモーターサイクルには、何故だか、単なる製品デザインを超えた魅力がある。
デザイナーが余計な外観処理を施す必要なない。
ロードタイプのモーターサイクルに、先に述べたような特徴に沿った改造を施すだけで、魅力のあるスクランブラーに豹変する場合が、多々ある。

何が、そんな魅力を与えるのか?
陸空軍のファイターよりも、海軍の艦上戦闘機の骨太さ、あるいは、「道具曼荼羅」に登場するような、日本の伝統的な道具類の存在感、多くの4×4ファンを魅了して来た「Jeep」などにも共通する、機能美などだろうか?
(ここで、プアな語彙を並べ、正鵠を失した講釈の必要はないだろう)

HONDA CL77 右側面 画像は、非常に程度の良い、HONDA CL77。
当時の他の国産メーカーのスクランブラーに比べ、出色の出来だと思う。
往々にして、キレに欠けるのが特徴のホンダ2輪デザインの中で、例外モデルの一つだったと確認している。
この車体は、今もアメリカでは人気が高く、マニアによって丁寧にレストアされ、保存されているのを見ることが出来る。 HONDA CL77 左側面

HONDA Dream CL77
CL72の車体に、305cc(ボアアップ)エンジンを載せたモデル。
車体外観は、CL72とほとんど変わらないが、エキパイ後端で共有サブマフラーが付いていた。
前後輪共、スチール製H型19インチのリムが付く。
主として北米向けとされたが、国内販売(極少量)もされた。

発売:1966
全長:2010mm
全幅:820mm
全高:1090mm
軸間距離:1330mm
最低地上高:190mm
乾燥重量:160kg
エンジン:空冷4サイクル横置並列2気筒・OHC・305cc
ボア×ストローク:60×54mm
圧縮比:9.5
最大出力:28.5ps/9000rpm
最大トルク:2.44kgm/6500rpm
最高速度:135km/h
始動方式:キック
潤滑方式:ウエットサンプ
点火方式:バッテリ
トランスミッション:4速リターン
フレーム:シングルクレードル
フロントブレーキ:ツーリーディング式ドラム
リアブレーキ:ドラム
フロントタイヤ:3.00-19
リアタイヤ:3.50-19
タンク容量:10.5L
登坂力:18度
定地燃費:45km/L
車両価格:\194000